エバンジェリストをご存知ですか?もともと「伝道者・福音者」という意味の英単語で、キリスト教の教えを伝える伝道者を表す言葉として使用されていました。近年ではIT業界の専門用語や、トレンドを一般ユーザーにも分かりやすく伝える職種を「エバンジェリスト」と呼びます。

大企業や外資系企業でもエバンジェリストの育成や採用を行っており、市場のニーズも高まっています。

この記事では、国のDX促進の動きと合わせ、エバンジェリストに対するニーズや、雇用事例、エバンジェリストとしてのキャリアアップについてご紹介します。

エバンジェリストの仕事が気になっている

自社のエバンジェリストを探している

という方は、ぜひ参考にしてみてください。

エバンジェリストとは

エバンジェリストは、高度なIT技術・トレンドを一般ユーザーや企業にも分かりやすく解説し、広く伝える仕事です。IT業界におけるエバンジェリストも、日々進化するITの技術やトレンドを自ら学び、セミナーの開催や、プレゼンテーションを行うなどの啓蒙活動をします。ITに関する話題を広く布教することから、「エバンジェリスト」の用語が使われています。

デジタル人材へのニーズの高まりと、エバンジェリスト

近年では、デジタル人材への需要が高まっていると共に、人材不足も顕著です。

2021年8月にウォンテッドリー株式会社が148社の人事・採用担当に実施した調査では、デジタル人材の不足企業は全体の69%に及んでいることが分かりました。不足人数は1〜5名で、不足人材はエンジニアが1位の67%、プロダクトマネージャーが53%で2位となっています。デジタル人材は市場全体的にみても需要が高まり、価値も高まっていることが分かります。

(参考調査:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000161.000021198.html)

記事の後半では、2030年時点でのIT人材の需給ギャップ予測と、デジタル人材の獲得状況に触れ、不足するIT・DX人材市場においてエバンジェリストの役割が加速する可能性についてもご紹介します。

国のDX推進の動き

企業でIT人材が求められる中で、国をあげてDXを推進する動きも進んでいます。

政府は2018年9月に「DXレポート」を発表し、企業内でレガシーシステムが事業部門ごとに縦割りとなり、企業全体でのデータ活用が円滑に進んでいない、部門ごとにシステムのカスタマイズが進み、複雑化やブラックボックス化している問題が述べられています。また、この問題が解決しない場合には、2025年以降に最大で12兆円/年の経済損失が生じる可能性を示唆し、「2025年の崖」と表現しています。同年12月には「DX促進ガイドライン」も発表し、DXを構築する上で経営層が押さえておきたい項目を解説しています。その後も、ワクチンパスポートのデジタル化や、マイナンバーカードの保険証利用、デジタル庁の民間人材公募など、国自体のデジタル化・DX推進に取り組んでいます。

近年のエバンジェリストニーズ

IT人材へのニーズが高まる中で、エバンジェリストを求める企業もあります。インターネット検索だけでも、200〜300件のエヴァンジェリスト求人が見つかり、中には年収1000万を超える報酬の求人もあります。

メディアへ登場したり、書籍を出版するエバンジェリストの方もおり、社会的な信頼や地位も高まっています。今後、エバンジェリストという職種がより世に広く知られるようになり、この傾向は高まる可能性があります。

また、2019年に「みずほ情報総研株式会社」が発表した調査結果によれば、2030年時点でのIT人材の需給ギャップは、最大で78.7 万人の人材不足になると予想されています。(「みずほ情報総研株式会社 「IT人材需要に関する調査」)そんな現状でも、特に中小企業ではIT人材の活用や獲得が思いのほか進んでいません。(「中小企業庁「中小企業白書(2016年版)」)これは「そもそもどのようなIT人材を雇えばいいのか?」が企業内で不明確なためとされています。不足するIT人材市場の中で、自社に必要な人物像を見定めることができるエバンジェリストの役割が加速すると予想されます。

政府も「DXレポート」や「DX促進ガイドライン」で言及しているように、デジタル・DXの加速は国力に関わる重要項目です。エバンジェリストも含めたIT人材はますます求められていくでしょう。

<h2>日本企業のエバンジェリスト雇用事例</h2>

日本国内でも、既にエバンジェリストが活躍している企業もあります。

・ソフトバンク株式会社:孫正義社長

・富士通:中山五輪男さん(現:アステリア株式会社)

・ノートン:中村沙央里さん

・日本マイクロソフト:西脇資哲さん

・日本ヒューレッド・パッカード株式会社:エバンジェリスト養成プログラム有り

エバンジェリストを育成するプログラムを設けている企業もあり、エバンジェリストのニーズや、社会での役割が浸透していることが分かります。

日本人で活躍しているエバンジェリストさんの詳細については、以下の記事も参考にしてください。

※エバンジェリストになるには?必要なスキル、モデル、なりやすい職業を解説

の記事にリンク

ITエンジニアのエバンジェリストとしてのキャリアアップするには

ITエバンジェリストになるために資格や、具体的なキャリアパスが設定されていないのが現状ですが、多くのエバンジェリストはIT系の開発職や技術職、ITコンサルタントといった職種からキャリアアップしている事例が多いです。

最近では、ITエバンジェリストの育成をしている企業もあり、エバンジェリストを見据えたキャリア形成をする場合には、そのような企業への就職をする方法もあります。

ITエバンジェリストになってからのキャリア形成としては、社内エバンジェリストとして経験を積んだ後に、独立・開業をする、さらにキャリアアップするために他社へ転職する、自著の出版をするなど、活躍の場を広げている方もいます。

エバンジェリストになるには、ITの専門的な知識に加えて、プレゼンテーションの能力も必要になります。日々進化が進むIT業界のトレンドをいち早く学んでいく好奇心や、学習力も必要です。エバンジェリストを目指すことで、多様なスキルが身につき、キャリアの幅が広がる可能性も大きいです。

まとめ

この記事では、国や企業のDX推進の現状や、IT人材の不足データ、エバンジェリストのキャリアパスや雇用例をご紹介しました。

日本企業でのIT人材不足、政府のDX推進も進み、エバンジェリストも含めたIT人材へのニーズが高まっています。現時点でも、200〜300のエバンジェリスト求人がネット上に掲載され、日本企業でも既にエバンジェリストの活用が始まっています。

エバンジェリストになるための具体的なキャリアパスは確立されていませんが、開発職やコンサルタントからエバンジェリストに転身する例もあります。エバンジェリストになってからのキャリアアップとしては、独立開業をしたり、自著の執筆・出版やメディアへの登場、他社へ転職し、更に活躍するなど多彩なキャリアがあります。

企業や国がデジタル・DX化を推進する中で、エバンジェリストの需要は更に高まると予想されます!

エバンジェリストになりたい!

自社のエバンジェリストを探している!

そんな方はぜひ、当サイトのご利用をご検討ください。